しりとり法話バトルに参戦中!
「フリースタイルな僧侶たちのフリーマガジン」というフリーペーパーがあります。なかなかマニアックな冊子ですが、創刊から既に5年がたち、2カ月毎の発行で36号まで出ているという、お坊さん業界ではそれなりに知られています。
そのフリーペーパーのなかの「しりとり法話バトル」というコーナーがあり、「ウデに覚えのある僧侶たちが、毎月しりとり形式で出されるお題にのっとって法話を作り、きびしい審査によって本誌掲載・非掲載のふるいにかけられる、フリスタ史上まれにみるサバイバルな企画」というもの。
これに私も4回連続で応募してみたのですが、いまだ掲載に至らず……お恥ずかしながら敗戦の記録をアップしますので、ご笑覧くださいませ。
■ 第9回「リミット」桂浄薫 | フリースタイルな僧侶たち
http://www.freemonk.net/blog/archives/4069
「自分の限界を自分で決めるな!」(松岡修造)
元テニスプレーヤーの松岡修造さんのカレンダーが人気だ。自分らしさやクールがもてはやされる風潮の中で、暑苦しいほど熱血に「ガンバレ!」「もっと出来る!」と励ますことをやめない。そんな松岡さんの名ゼリフが、閉塞感漂う時代にエネルギーとなっているのではないか。
「限界を決めるな」とはつまり「諦めるな」ということ。しかし「諦める」は本来「明らかにする」という仏教語。「明らかに正しく見る」という、仏道修行の根本となるポジティブな言葉で、一切の主観をはさまず物事を正しく見ることができれば、悟りへ一歩近づける。
自分の限界=リミットを正しく見つめ、安易なリミットを作らないようにすることは修行に通じる。実は松岡修造さんは、逆説的に仏法を説く修行者なのかも!?
【審査員の評価】
総合評価:3.0/5段階中
■ 第8回「実り」桂 浄薫 | フリースタイルな僧侶たち
http://www.freemonk.net/blog/archives/3899
「実りの秋」ならぬ「実りの春」。春にもキャベツ、玉葱、たけのこ、苺、グレープフルーツなど色とりどりの実りがある。食物ばかりでなく、卒業や入学など人生の実りが結実する季節。心がウキウキするのも、体が自然とそんな実りを感じているからかも。
仏教の実りを「仏果」という。「仏道修行によって得られる結果。さとり」つまり、修行の実りのこと。私たちが仏さまにお祈りするのは、本来この仏果が進み、さとりの境地を得られることであって、商売繁盛・家内安全・学業成就などをお願いするものではない。お願いされても仏さまも困っちゃう。この世の見返りばかり求めていないか、そんな自分の姿が修行によって浮かび上がる。
仏さまの国では修行しやすいけれど、この世は煩悩だらけで思うように修行がすすまない。でも春は心身ともにフレッシュ。そう、仏果を得るのに最適な季節の到来だ。
【審査員の評価】
総合評価:3.5/5段階中
■ 第7回「ツッコミ」桂 浄薫 | フリースタイルな僧侶たち
http://www.freemonk.net/blog/archives/3822
漫才に限らず最近のテレビは、ボケとツッコミを上手く成立させて笑いをとっています。ボケだけでは笑うタイミングがわからず笑いが逃げてしまう。ツッコミが的確でないと戸惑ってしまい、せっかくのボケが台無しになってしまう…そんな笑いの解説はヤボですかね。
私たちと仏さまの関係も似たようなものかもしれません。ボケは私たち、ツッコミは仏さま。私たちは毎日、毎時間、毎分、ボケ続けています。そんなつもりはない?
でも仏さまから見れば、私たちは滑稽を通りこして哀れなうえ、知らずに罪を重ねています。「何をしておるんだ…また地獄へ堕ちる業を作ってばかり」とツッコんでおられることでしょう。ボケとツッコミが切っても切り離せないように、私たちと仏さまもいつも一緒。「それでも救うぞ」とツッコミながら見守ってくださっています。
【審査員の評価】
総合評価:3.3/5段階中
■ 第6回「スイーツ」桂 浄薫 | フリースタイルな僧侶たち
http://www.freemonk.net/blog/archives/3354
寒くなると甘いモノが欲しくなる。気温が低くなると体温を維持するために高いカロリーが必要なのだとか。そんな言い訳をしながら、こたつに入りながらチョコを一口頬張ってしまう。子どもには「お菓子ばかり食べたら、ご飯食べられないでしょ!」と叱るのに、自分にはチョコよりも甘い。
人間の欲はつきつめれば貪り・怒り・愚かさの3つ。私たちを苦しめる原因なので毒にたとえて三毒という。欲しい欲しいと甘いモノを求める心が毒とは、なんとも皮肉なことだ。際限なく求め、手に入らず腹を立て、自分中心の愚かさに気づかない私たち。
それでも食後のスイーツはやめられない。せめて虫歯にならないよう歯磨きするように、日日精進し自分磨きを怠らないようにしたい。
【審査員の評価】
総合評価:3.8/5段階中