和文のお葬式

善福寺では通夜式も葬儀式も「和文のお経」でお勤めし、心をこめて故人を送ります。

親族も会葬者も僧侶も、全員が一緒にお経を読むという「全員参加型のお葬式」を心がけています。お経本を一人ひとりにお配りしますので、恥ずかしがらずに声に出してお読みください。葬儀式の際にお配りする本はお持ち帰りいただいて構いません。

以下は葬儀式の差定(式次第)と和文のお経です。

おつとめ(葬儀式)
入堂
醒覚(せいかく)の偈
敬って大衆(よのひと)に白(もう)す。生死(いきしに)のこと大(おごそか)にして、無常(うつりかわり)は迅速(たちまち)のあいだなり。各々(おのおの)よろしく醒覚(こころ)すべし。慎んで放逸(おろそか)なることなかれ。
開式の辞
※ 開式のアナウンスがなされます。
三法印(さんぼういん)
諸行無常(つくられたるもの うつりゆく)とは、これ第一(はじめ)の法印(ことわり)なり。
諸法無我(このよにあるもの ひとりあらず)とは、これ第二(つぎ)の法印(ことわり)なり。
涅槃寂静(おのれなきものに やすらいあり)とは、これ第三(おわり)の法印(ことわり)なり。
香偈(こうげ)
願わくはわが身の浄(きよ)きこと、香炉(こうろ)の如くならん。願わくはわが心、智恵のともしびの如くならん。念々(つね)に戒(いましめ)と定(しずけさ)の香をたき、十方三世(じっぽう さんぜ)のみ佛に供養したてまつる。
三宝礼(さんぼうらい)
一心に敬って、十方世界に常住(かわら)ざる佛(さとれるもの)を礼(らい)したてまつる。佛(さとれるもの)は両足(ひととしひと)の尊さなり。まさに願わくは衆生(ひとびと)とともに、大道(さとりのみち)を体解(ふみし)めて、無上意(ふるいたつこころ)を発(お)こさん。

一心に敬って、十方世界に常住(かわら)ざる法(ことわりのみち)を礼(らい)したてまつる。法(ことわりのみち)は離欲(おのれなき)の尊さなり。まさに願わくは衆生(ひとびと)とともに、深く経蔵(おしえのくら)に入りて、智恵海の如くならん。

一心に敬って、十方世界に常住(かわら)ざる僧(つどいのちから)を礼(らい)したてまつる。僧(つどいのちから)は衆中(いやさかえ)の尊さなり。まさに願わくは衆生(ひとびと)とともに、大衆(よのひと)を統理(すべととの)えて、一切(よろず)無碍(さわりなきもの)とならん。
四奉請(しぶじょう)
請いたてまつる十方(じっぽう)の如来、道場に入らせたまえ。
請いたてまつる釈迦如来、道場に入らせたまえ。
請いたてまつる阿弥陀如来、道場に入らせたまえ。
請いたてまつる観音勢至(かんのん せいし)および諸々の大菩薩(だいぼさつ)、道場に入らせたまえ。
懺悔(さんげ)の偈
われ昔(さき)に造るところの諸々の悪しき業(わざ)は、みな無始(さけがたき)貪(むさぼり)と瞋(いかり)と痴(おろかさ)とに由(よ)るものなり。わが身と語(ことば)と意(こころ)より生(お)こるところ、一切(すべて)われ今ことごとく懺悔(さんげ)したてまつる。
十念
無常(むじょう)の偈
諸々の衆等(ひとら)聴きたまえ、日中(にっちゅう)無常の偈を説かん。人生けるとき精進(はげみ)なければ、喩えば樹(くさき)の根なきが如し。華を採りて日中(ひざかり)に置かんに、よく幾ばくの時か鮮やかなることを得ん。人の命もまたかくの如し。無常(うつりかわり)は須臾(たちまち)の間なり。諸々の道を行(おさ)むる衆生(ひとびと)に勧む。勤め修めてすなわち真(さとり)に至りたまえ。
引導(いんどう)の儀
※ 故人を極楽浄土へ、あるいは悟りへ引き導く御門(ごもん)を口上します。
弔電奉読
一枚起請文(いちまいきしょうもん)
唐土(もろこし)わが朝(ちょう)に もろもろの智者達の沙汰(さた)し申さるる 観念(かんねん)の念にもあらず。また学問をして 念の心を悟りて申す念佛にもあらず。ただ往生極楽のためには 南無阿弥陀佛と申して 疑いなく往生するぞと思い取りて申すほかには別の仔細(しさい)候わず。

ただし三心(さんじん)・四修(ししゅ)と申すことの候うは みな決定(けつじょう)して南無阿弥陀佛にて往生するぞと思ううちにこもり候うなり。このほかに奥深きことを存ぜば 二尊のあわれみに外れ 本願にもれ候うべし。

念佛を信ぜん人は たとい一代の法をよくよく学すとも 一文不知の愚鈍(ぐどん)の身になして 尼入道の無智のともがらに同じうして 智者のふるまいをせずして ただ一向に念佛すべし。

証(しょう)のために両手印(りょうしゅいん)をもってす。

浄土宗の安心(あんじん)起行(きぎょう) この一紙に至極せり。源空(げんくう)が所存(しょぞん) このほかに全く別義を存ぜず。滅後の邪義をふせがんがために所存を記しおわんぬ。

建暦(けんりゃく)二年正月二十三日
大師在御判(だいしざいごはん)
摂益(しょうやく)の文
阿弥陀佛の光明(こうみょう)は、あまねく十方の世界を照らして、念佛の衆生(ひとびと)を摂取(すくいと)りて捨てたまわず。
念佛一会
※ お念佛の間に焼香をしていただきます。
回向(えこう)
総回向(そうえこう)の偈
願わくはこの功徳をもって、平等(ひと)しく一切に施し、われらと世の人皆ともに、菩提心(ふるいたつこころ)を発(お)こし、安楽国(たのしきくに)に往生(すすみ)ゆかん。
十念
送佛(そうぶつ)の偈
請うらくはみ佛ら、それぞれ本国(みくに)に還りたまえ。あまねく香(かおり)と華(はな)を散(ま)いて、心にみ佛を送りたてまつる。願わくはみ佛、慈心(あわれみ)もて遥かに護念(まもり)たまえ。われら勧(はげ)ましあいて皆ともに、佛の道にいそしまん。
十念
退堂